市販の「冷麺」を美味しくする工夫

写真はアジヨシ鶴橋・別館の冷麺・大
 実を言うと、韓国冷麺の美味しさがわかるようになったのは30歳をすぎてからなのです。
小学生の時、はじめて地元の焼肉屋さんで食べた「冷麺」は、ゴムみたいな麺と薄いスープで、「冷やし中華」のような味を予想してた子供の私はガッカリしたのでした。

しかし、永い年月を経て、「冷麺」初体験の悪い印象はガラリと変わりました。
きっかけは当時勤務してた会社の忘年会でした。
焼き肉コースメニューの最後が冷麺だったのです。

冬なのに冷麺?と不思議に思ったものの、口にしてびっくり、昔たべたゴムみたいな食感とちがい、日本そばに近いザラっとした感触の伸びの良い麺、しかも麺自体が香るように甘いのです。
そして、スープは薄味には違いないけど、コクのあるビーフの香りで、それまで体験したことのないものでした。
 その焼き肉屋さんの名前は失念してしまったけど、それからいくつかのお店で「冷麺」を食べる機会がありました。
そのなかで、私が個人的に美味しいと思ったのは、鶴橋に本店がある”アジヨシ”さんの手打ち冷麺です。
アジヨシさんは難波のカプセルホテル・アムザとビッグカメラの横断歩道わたった北向かいにもある(千日前店)ので、関西にお住いの方はぜひ、サイドメニューでなくても、単品でも注文してください」とのことです。
ひとりで焼き肉屋さんへ入るのは勇気がいるけど、お昼の3時ころなら狙い目です。

ところで、このコーナーでは「簡単」「お手軽」をコンセプトにしているため、牛すね肉を長い時間煮込んだり、麺を粉から練ったりしません。
当然、麺は市販の麺を使います。
実は冷麺は、”手打ち”と、半生(乾燥)の食感の差がはげしく、どう頑張っても市販品は、手打ち麺にかないません。
それでも、家で冷麺を美味しくたべるためのアイデアを考えてみました。
             韓国食材店で買える半生麺スープ付半生麺いろいろ
                 

一力(いちりき)の生麺は韓国麺では少ない角麺タイプでやや細め、コシと伸びがあります。
松花冷麺は、麺自体に上品な香りがあります。ボリ冷麺はそば粉入りの細麺タイプ

スーパーで売ってる冷麺、左から「大阪鶴橋徳山冷麺」、マルちゃんの「牛角冷麺」、戸田久の「もりおか冷麺」
            
 市販(韓国食材店)で買える冷麺スープ(の素)いろいろ
   
200ccくらいの水で稀釈するタイプの”スープの素”各種
レシピその1.スープのグレードアップ法

クノール
フォン・ド・ボー


水で希釈するタイプのスープは、はっきり言って”風味”がありません。
希釈タイプのスープの素は、スープを作るためのベースと考えたほうがいいみたいです。

そこで、、ビーフの旨味が入った固形スープを湯で溶かしてから氷で冷やした”ブイヨン”を作り、水のかわりに、このブイヨンで「スープの素」をのばすと、コクのある美味しいスープができます。

※塩味の強いビーフ・コンソメより、塩味の弱いフォン・ド・ボーが使いやすいです。
クノールの固形フォン・ド・ボーなら1人前で1粒の1/5かけくらいで充分です。
それを少量の湯で溶かし、氷などで冷やして、最終的に200cc〜250ccのブイヨンを作ります。
 そのブイヨンで市販の濃縮「スープの素」を希釈すれば、ビーフのうまみたっぷりな、みちがえるように美味しい冷麺スープになります。
”イカリ”のビーフ・ブイヨン(右) 
少し濁ってるけど風味がいい

戸田久もりおか冷麺に付いてる
スープの素(左)
フルーティーな甘酸っぱさが特徴
で、希釈用としてはベストな味
単品では売ってない


もっと理想を言えば、ちょっと値は張るけど、高級スーパーikari(イカリ)で売ってるビーフ・ブイヨン1袋500ml=1人前200mlとして、たっぷり2人前以上)で、冷麺スープの素を希釈することです。
このイカリのビーフブイヨンは、塩味がほとんど感じないほど薄く、ビーフの旨味と野菜の甘さがいきてるので、
これで稀釈すると抜群に美味しいスープができあがります。

でも、イカリは僕の近所にもありません、以前住んでた尼崎にはありましたが、今は片道1000円以上電車賃を払わないと行けません。

だから、やっぱり近所のスーパーに売ってる固形フォンドボーを使うことにします。 
固形フォンドボーは、イカリのビーフブイヨンに比べ、やっぱり極わずかに塩辛いので、甘口が好みの人はちょっとだけ甘い”何か”を足す必要があります。
リンゴか梨の絞り汁か、ジュース(ピーチかアップル)、チェリーやパイナップル缶詰のシロップなどを極少量入れると、フルーティーな盛岡冷麺風甘口スープ風になります(入れ過ぎると味がいやらしくなるので注意)。
レシピその2麺の茹で方&盛り付け型
麺の茹で時間は太さや製法によってばらばらですので、よく袋の説明書を読んで、書いてあるとおり茹でてください。
ざるにあけて、流水で”あら熱”をとって、冷たい氷水でよく揉み洗いして、ヌメリを取って水切りします。

お鉢に麺を入れる時は手の甲に巻きつけるようにするのが一流店のプロの技ですが、僕は写真のように、麺を箸ではさんでグルグル巻きます。 

トッピング具材は、焼き肉店のように、ビーフチャシュー(スープを取ったあとの茹で牛肉)があればベストだけど、そんなのどこにも売ってないので市販の焼き豚チャーシューを入れます。。
名店と呼ばれる店でも普通の焼き豚チャーシューを使ってる場合もある(冷麺専門店「冷麺館」など)ので、豚と牛、必ずしもミスマッチじゃないかもしれません。
オイキムチ(赤くないキュウリキムチ)はイトーヨーカドーやセブンイレブンで時々売ってますが、普段はなかなか用意できないかもしれません。
その場合、ビビン麺のページで紹介しました、ミツカン甘酢漬の素で、甘酢キュウリをつくってください。
茹で玉子、フルーツ(スイカ、林檎、梨、パイナップル)、白菜キムチかカクテキ(大根の角切りキムチ)などを盛り付けて出来上がり。
フルーツはなければなくてもいいかもしれません。
スーパーのパック入り「きざみねぎ」か「あさつき」、それに、スリゴマか煎りゴマ、乾燥錦糸玉子、など盛りつけは工夫しだいです。
     
●左は細麺タイプのボリ冷麺を使用、林檎、キムチ(ほんのわずか)きざみねぎ、甘酢胡瓜(もっとよく揉んだほうがよかった)、パック入りチャーシュー、茹で玉子。

●右は別の日に作ったもので、「大阪鶴橋徳山冷麺」を使いました(この徳山冷麺は希釈しないストレートタイプのスープが付いてるんですが、量がちょっと少なめです)。
(この徳山冷麺の麺は中太丸麺で、半生麺特有のゴムっぽい食感がつよく、好みが分かれそうです)。
盛りつけは見てのとおりシンプルなものでフルーツもキムチも用意できませんでした。
白菜キムチは味が強いので、個人的にはあまり入れません。よく、スープの素に付いてる赤い辛味の素(キムチの素)も入れません。
←この作例は戸田久の「もりおか冷麺」を家で作ったものです。
スープの素は、上のレシピどおり、クノールのフォンドボーを薄く溶かしたブイヨンで 希釈。
この時はは、チャーシューのかわりにロースハムを使いましたが、盛岡冷麺には合います。
セブンイレブンかイトーヨーカドーで買ったオイキムチを薄く切って、挟んであった大根キムチの細切りを盛り付けました。
さらに、チェリーは缶入りでなく、たまたまスーパーの”おつとめ品コーナー”で見つけたものを使いました。

”お店で食べる冷麺とは別物”(あくまで家で作る)という観点からだと、この戸田久をはじめとする”もりおか”タイプが美味しく作れる可能性が高いという気がします。
”もりおか冷麺には、また別の美味しさが
 独自の発展をした麺文化のある郷、盛岡。
名物の盛岡冷麺は、麺がスパゲッティなみに太くて、スープも甘酸っぱく、韓国冷麺とはちがう美味しさがあります。
通信販売やデパ地下などで買える、ぴょんぴょん舎盛岡冷麺は僅かにトロミのあるストレートスープで、他の半生タイプとはちがう製法の太麺が美味しい(茹でる前は白っぽい乾燥度の少ない生麺で、茹でると透明になります)。

麺の製法の関係か、賞味期間が12日(出荷後?)と、ちと短いけど(市販の半生タイプは40日くらいが一般的)、冷麺好きの人にはお奨めです。
付属のキャベツキムチは熟しすぎて酸味が強くなってる場合があるので、ビーフスープの味を楽しみたい人はいれないほうがいいかもしれません。
お店の冷麺   
  
写真は、大阪の冷麺専門店「冷麺館」(心斎橋店)の冷麺をデジカメ撮影したものです。
韓国冷麺らしい冷麺で、焼き肉屋のサイドメニューでなく、冷麺だけを食べる目的だけに使用できる有難い店です。
透明感のあるスープはビーフ味で、麺はアジヨシにくらべると、やや中太(希望により店員さんがハサミで切ってくれます)。
 
 


←アジヨシ千日前店(なんば)の冷麺・大 
フルーツはたいていスイカですが、たまにパイナップルだったりします。
麺は細麺で、食感も風味もすごく良いです。
スープはやや濁ってて甘みがあり、ビーフのコクと旨みが効いてます。
 個人的には”理想の冷麺”。
家庭では絶対に出せない味です。





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