戦後最大のスター、石原裕次郎のデビュー曲であり、当時の社会現象にまでなった兄、慎太郎原作の“太陽族”映画の主題歌でもあります。
わたしは昭和30年代の文化・風俗が大好きなレトロ趣味人間だけど、“太陽族”なるものにはまったく興味がありません。
と、いうよりむしろ反発にちかいものを感じるし、この作品の原作者である石原慎太郎氏は差別者なので、都知事になった今も何か発言するたびにムカついています。
裕次郎さん自体も俳優として特に好きというわけでなく、好んで出演作を見ることもありません。
でも、好き嫌いは別にして、たしかに若い頃の裕次郎さんには“スター”のオーラというものは感じます。
この曲自体は、後のムード歌謡路線とちがい、ハワイアンテイストで、歌謡曲というより映画音楽と捉えることもできます。
作曲は黒澤映画でも有名な佐藤勝さんで、佐藤さんとしても初期の作品です。
この佐藤さんは映画音楽以外でも、美空ひばりさんのプロテストソング「一本の鉛筆」や青春ドラマ主題歌「若者たち」など、いい曲を書いてて、素晴らしい作曲家だと思います。
映画「狂った果実」は当時の恵まれた”坊ちゃん不良兄弟”と若い人妻(後の裕次郎夫人の北原三枝さん)の三角関係のドラマで、原作者に反発を感じながらも、映画自体は楽しめました。
この甘美な主題歌からは、想像できないような衝撃的なラスト・・・・
映画はビデオレンタルで見ましたが、意外なことに、裕次郎さんはこの歌を劇中では歌ってないのです。
うっそ〜!と思うでしょうが本当です。劇中、裕次郎さんはウクレレ片手にハワイアンを歌うけど、それは別の曲で、僕も映画を再見した時には意外な事実にビックリしました。
しかし、佐藤勝さんによるこのメロディー自体は、劇中いたるところで効果的に使われるので、まるで裕次郎さんが劇中で歌ったような錯覚を起こすのです。
ところで、会社の宴会の2次会などのカラオケでこの曲を歌うと、この映画(もしくは別の裕次郎映画)の画面が出てくるので、部長さんや年配の大先輩が喜んでくれます。
まだ裕次郎さんがデビューしたてで歌がうまくない時の録音なので、素人にも比較的、マネやすいというか、歌いやすいのです。
キイも高くないし、メロディーさえしっかりなぞって歌えば雰囲気でるので、アリス世代以下の若い人もどんどんカラオケ挑戦してください。
この曲なら加山雄三さんの「君といつまでも」(昭和40年)と同じで、古い歌が嫌いな若い人でも馴染める普遍性を持っていると思います。
なお、裕次郎さんのCDをを買うなら、ステレオ再録音バージョンではなく、なるべくなら最初に録音されたモノラル盤の音源を収録してるCDがお奨めです。
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