懐かし歌謡劇場・アルバム編    僕の愛聴盤 
中島みゆき「寒水魚」1982昭和57年
さて、今回から、形を変えて、ひとつの歌ではなく、LPレコードやCDなどのオリジナルアルバム、ベストアルバム(あるいは複数のアーティストによるオムニバスアルバム)の感想を書いてみたいと思います。

記念すべき”アルバム編”の第1弾は、NHKの人気番組「プロジェクトX」で団塊世代以上の高齢者ファンをも獲得した、中島みゆきさんを選びました。

わたしは正直言って、みゆきさんのアルバムを全部揃えてるようなマニアではありません。

みゆきさんのアルバムばかりを聴きこんでしまうと、何か深みにはまってしまいそうで、あえて距離をとってる中途半端なファンです。


1980年代の中頃、当時勤めてた会社に、熱心なみゆきファンの女の子がいたので、彼女から3枚のみゆきアルバム(「おかえりなさい」「寒水魚」「親愛なる者へ」のLPレコード)を借りてカセットに録音し、一時的にハマってました。

ですが、永い年月のうちに、いつのまにか僕のなかでの“みゆき熱”は徐々に醒めてしまってたのです。

で、お恥ずかしいことながら、わたしも「プロジェクトX」で、まわりのおじさんたちが話題にしてるのを知って、みゆきねえさんを再び聴きなおそうと思ったくちなので、根っからのみゆきファンのみなさんゴメンなさい。

それで、あの番組の主題歌を収録したアルバム「短編集」を買ったついでに、「寒水魚」も(録音カセットもダメになってしまってたので)CDで買い替えたのでした。

同僚のみゆきファンのその子は「親愛なる者へ」が一番好きと言ってたけど、僕には少し重く感じられたので聴く回数は少なく、”愛聴盤”となるにはいたらなかったのです。

その子から借りた3枚の中では、トータル感で「寒水魚」が一番好きでした。
他の歌手への提供曲を自分で歌った「おかえりなさい」も親しみやすいアルバムで気に入ってましたが、アルバム全体の完成度は「寒水魚」が一番だと思います。


まずオープニングのヒット曲「悪女」のアンニュイなロックバージョンにつづき「傾斜」と、ちょっと重い曲ではじまるのだけど、3曲めあたりから静かな美しい曲がつづきます。

幻想的な美しさを秘めた「鳥になって」につづき、4曲目の「捨てるほどの愛でいいから」は胸を打つとびきり美しい失恋歌で、僕の人生そのもの(泣)です。

つづく「B.G.M」は、失恋を悟った瞬間の心理が歌われている悲しい歌だけど、曲調が静かでやさしく、一つ前の「捨てるほどの愛でいいから」からの流れでスっと世界にはいってゆけ、気持ちよく癒されます。

「家出」は親に歓迎されてない彼氏から家出を強要される内容で、周りからは祝福されてないけど、いちおう相思相愛が成立してるので、考えようによっては幸せな歌。

「時刻表」は都会の中の孤独と郷愁が入り混じった歌で、街頭インタビューに「“私やさしい人が好きよ”と、やさしくない女たちが答える」という皮肉が印象的。

「砂の船」は“僕”という一人称で歌われるちょっと抽象的な歌。

そして「歌姫」はみゆきさんの代表曲のなかでは“失恋歌でない”名曲で、このアルバムを優雅に締めくくってくれてます。


このアルバム「寒水魚」は他のアルバムに比べても(と言っても全アルバム持ってるわけではないですが)圧倒的に夜に聴くのに適しています。
それも、夏ではなく、秋の夜長に最適です。


みゆきさんの歌はつい歌詞を聴き込んでしまうけれど、このアルバムに関しては歌詞を切り離しても、サウンド面が優雅で、みゆきさんのヴォーカルの発声自体もこころなしか柔らかく、穏やかな曲が連続してるので、ヒーリングミュージックとしても効果を発揮してます。

もし、「みゆきを語るならこれを聴け」と、ご意見を持っておられる方いらしたら、教えてください。


ちなみに私が2006年8月現在、持ってる中島みゆきさんのアルバムは以下のとおりです。

「今の気持ち」「おとぎばなし」「短編集」「私の子供になりなさい」「寒水魚「おかえりなさい」「あ・り・が・と・う」」「ベストアルバム・大吟醸」以上,CDで所有。

「親愛なる者へ」とライブアルバム「歌暦」は録音カセットで所有。
この二つも経済的に余裕ができたらCDに買い換えたいと思ってます。

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