懐かシネマ劇場第3回 | |||||
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眼下の敵 | |||||
THE ENEMY BELOW | |||||
1957年 カラー作品 | |||||
ディック・パウエル監督 アメリカ映画 |
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出演:ロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンス | |||||
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第二次大戦中の、アメリカ駆逐艦とドイツ潜水艦Uボートとの攻防戦を、それぞれの艦長の心理的な駆け引きを交えて描いた戦争映画の名作です。 敵と味方が対等に描かれてるという点では、当時(戦後10年ちょっとしかたってない)としては画期的な試みだったのではないかと思われます。 戦争映画は人が死ぬから悲惨でイヤだ・・・と敬遠してる人にもお奨めの、サスペンスフルな“男の映画”です。 大ヒットアニメ「宇宙戦艦ヤマト」で育った世代の人には特に見てもらいたい映画です。ヤマトに出てくるデスラーやドメル将軍などの「敵ながらあっぱれ」という描き方は、確実にこの映画の影響と見て取れます。 アメリカ駆逐艦側、ロバート・ミッチャム扮する新任艦長は最初、経験不足ということで乗組員から軽く見られてるんだけど、その大胆な発想と指導力で、またたくまに部下の信頼を得ていく過程が描かれてます。 対するドイツ側、クルト・ユルゲンス演じるベテラン潜水艦艦長は、息子二人をこの戦争でなくして、心では戦争に対して懐疑的、加えてヒットラーに嫌悪感を持ってる、という設定。 この二人のリーダーが、実に頼りがいのある“男の中の男”で、人間的な魅力ある人物として描かれてるのが、この映画の最大の魅力です。 特にドイツ側艦長を演じてるクルト・ユルゲンス、コワモテで渋くてカッコいい! 私(タロスケ)は古本屋で古い映画雑誌を買うのが大好きなのだけど、「映画の友」1958年8月号の「スタアのごひいきスタア」なんていう面白い企画の記事があります。 驚くなかれ、女優陣に一番人気の外国スタアは、なんと、クルト・ユルゲンスその人なのです。 実は票数はアンソニー・パーキンス(長身のちょっと腺病質な二枚目)と同数なんだけど、パーキンスを一番好きと言ってるのは白川由美(ラドンの・・・というか、ひろみ郷と離婚した”リィ”の母)と芦川いづみの二人だけで、あとひとりの野添ひとみは一番好きな男優にバート・ランカスターを上げてます(その後ひとみさんと結婚する川口浩は“頼りなげ”という意味でパーキンスに近い?) ユルゲンスを好きと答えた女優は、若尾文子、小山明子(現・大島渚夫人)、お姉ちゃんシリーズの団令子の3人、それぞれのユルゲンス評はというと・・ 若尾文子 ちなみに山本富士子さんはウイリアム・ホールデンの名をあげていました。 お姫さま女優の丘さとみさんはジェームス・メイスン、「あくまで渋くて、どこかニヒルな感じを身につけた大人の魅力は参ります」だって。 意外なことは、ホストクラブやジャニタレ全盛の昨今とちがい、当時の女性(女優)は“渋好み”というか、大人の男の魅力がわかる人が多かったってことです。 |
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(追記)クルト・ユルゲンスの魅力そのものは57年の「眼には眼を」が,さらにお奨めなのですが、ビデオ、DVDは出てないようです(「眼下の敵」は買いやすい値段のDVDが出てiます)当時の「眼には眼を」ポスターには”ユルゲンスの男性美”って言葉が謳われてて、やはり、昔のほうが”男性美”や”中年男性の魅力”を、あたりまえのことのように理解してたようです。 (ジャリタレや中性的美形男子ばかりがもてはやされる今の日本の芸能界とは大違いです、いつから日本ってこんなダメな国になってしまったのでしょう・・・・・・) 山本富士子さんが北原義郎さんへ送った情熱的なラブレターが週刊誌で公開されたのは、ごく最近(平成10年以降)のことで、昭和30年代当時のマスコミは今ほどスタアの私生活に干渉しなかった(?)らしく、富士子さんと義郎さんとの”秘めたる恋”はゴシップ記事として表沙汰にはならなかったそうです。だからラブレターの発見は何十年ぶりに発見された大スクープだったわけです。 |
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